南斗聖拳と言えば、北斗神拳と相並ぶ暗殺拳の一派ですが、「北斗の拳」の作中では、ケンシロウやラオウなど、北斗神拳の戦士たちに押されてしまいます。
その結果、ケンシロウがラオウを倒したのちには、その戦士たちの大半を失ってしまうという事態に陥ってしまいます。
時代が時代ならば、南斗聖拳が世の中を支配することも可能だったはずです。
ここでは、南斗聖拳が北斗神拳に敗れ去った5つの理由をご紹介していきます。
Contents
1.南斗聖拳が北斗神拳に敗れ去った5つの理由とは?
南斗聖拳は、北斗神拳と相並ぶ暗殺拳の一派です。
北斗神拳が秘孔を突いて内部から肉体を破壊するのに対し、南斗聖拳は手刀や真空波などで外部から相手の肉体を破壊しようとします。
この「陰」と「陽」ともいえる南斗聖拳と北斗神拳の違いが、どのような影響を与えたのか分かりませんが、天下をとったのは北斗神拳の方でした。
そもそも、南斗聖拳が北斗神拳に敗れ去ったのは、なぜなのでしょうか?
①北斗神拳の戦士たちが強すぎた
北斗神拳と南斗聖拳の優位性を考えると、どうしても「北斗優位」になってしまいます。
というのも、南斗聖拳は元々北斗神拳の伝承者争いに敗れた者や、北斗神拳以外の拳法を身につけていた優秀な拳法家が集まって「南斗」を名乗ったのが始まりだからです。
この生い立ちもあって、南斗聖拳はアンチ北斗神拳の拳法家などを中心にどんどん広まっていき、認められているだけで108の分派を生みだしました。
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一方の北斗神拳は、北斗神拳と言うルーツの拳法を一子相伝で受け継いでいくスタイルであり、そのため継承者になろうとたゆまぬ努力をし、時には継承者同士で激しい争いもあったぐらいです。
この差が生まれた結果、比較的自己流の拳法であっても「南斗」を名乗りやすかった南斗聖拳に対して、ひたすら激しい修行を極めて継承者になっていく北斗神拳とでは、明らかに戦士の質が異なってきたのです。
特に世紀末ともなれば、ケンシロウをはじめとする北斗神拳の継承者とその候補者は、修行の結果得ていた強さをいかんなく発揮することになります。
②南斗聖拳の内部争いがひどかった
南斗聖拳は、多くの共感者によって世の中に浸透していきましたが、その分個性的な拳法家の集まりであったため、抗争が生まれやすい集団でもありました。
今の時代でいえば、政党内部の抗争から離党者が新党を作るものの、その浸透同士が再び合併して暖簾だけが変わった政党が生まれる、この繰り返しと同じようなことが、南斗聖拳でも起きていたのです。
このままでは、南斗聖拳が衰退してしまうと、関係者が策を巡らせた結果、その当時より有力と認められる六つの流派が生まれます。
そして、他の流派は次第にその六流派のいずれかに属する分派となり、南斗聖拳は大きく6つのグループに分かれ、南斗六聖拳のルーツになりました。
南斗六聖拳は、「殉星」「義星」「妖星」「仁星」「将星」の五つの流派と、別格の「慈母星」とされました。
このうち「慈母星」は南斗聖拳の一番由緒正しい血筋とされ、北斗の拳の作中では、ユリアが「慈母星」とされ、南斗聖拳すべての象徴とされて掲げられることになります。
③南斗聖拳の戦士たちが身勝手であった
核戦争を乗り越えた時、南斗六聖拳の承継者はそれぞれどうなっていたのでしょうか。
それぞれのメンバーは、次の通りです。
・シン(南斗孤鷲拳)
・レイ(南斗水鳥拳)
・ユダ(南斗紅鶴拳)
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・シュウ(南斗白鷺拳)
・サウザー(南斗鳳凰拳)
・ユリア(南斗最後の将・慈母星)
あと、ユリアを守るために「南斗五車星」の戦士たちが存在していました。
彼では海・山・雲・炎・風の五星の戦士によって構成されていて、それぞれの拳法の特徴から名づけられています。
世紀末ですから、南斗六聖拳も南斗五車星も、南斗聖拳を守るために奔走するのが当然ですが、実際に南斗六聖拳が取った行動は、それとは正反対の行為でした。
・シン(南斗孤鷲拳)→ケンシロウと婚約したユリアを奪い去る
・レイ(南斗水鳥拳)→妹アイリを探し求めて悪党の用心棒になり下がる
・ユダ(南斗紅鶴拳)→美女をさらってきてハーレムを作り上げ自己満足
・シュウ(南斗白鷺拳)→目が見えないが世の中の悪党を南斗聖拳で成敗する正義の味方
・サウザー(南斗鳳凰拳)→自分が一番になろうとあのラオウと手を組もうとする
・ユリア(南斗最後の将・慈母星)→シンに捕らわれてやがて自ら身を投げる
このありさまでは、南斗聖拳が次第に衰退してしまうのもわかる気がします。
④南斗聖拳の戦士たちは世の中の支配を望んでいなかった
南斗六聖拳と聞けば結束力の固い集団のように思えますが、実際にはお互いに対立していた独立勢力ともいえます。
実際、核戦争時にはシン・ユダ・サウザーの「戦乱から南斗聖拳を発展させるグループ」と、レイ・シュウ・ユリアの「南斗聖拳で平和をもたらすグループ」に別れて抗争を繰り広げたため、配下の108派も合わせて抗争に巻き込まれてしまいました。
日本の歴史で例えると、室町時代の守護大名が互いに抗争を繰り広げた「応仁の乱」と同じような状態と言えます。
南斗の結末も応仁の乱と同様で、抗争を繰り返した結果、レイ対ユダ、シュウ対サウザーといった南斗同士による直接対決もあり、その力を大きく落としていくことになります。
ラオウのように世の中の支配を望むような戦士はいなかったものの、自分こそが南斗の中心と考え、抗争を繰り返した「井の中の蛙」のような戦士が多数いたことから、結局南斗聖拳は衰退してしまいます。
⑤南斗聖拳を利用する悪人たちが多すぎた
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南斗聖拳の戦士たちは、とにかく作中で利用され続けます。
レイは妹・アイリを探すために悪党の用心棒になりますし、サウザーは南斗聖拳のトップに立とうとするあまり、北斗神拳のラオウに近づき、ラオウの配下に入ったふりをして、他の南斗聖拳の抵抗する者を根絶やしにします。
シンに至っては、最低男・ジャギにそそのかされて、ケンシロウのもとからユリアを強奪すると言う暴挙を犯します。
このように、南斗六聖拳の戦士たちの大半が、身勝手な悪人にそそのかされてしまうか、サウザーのように身勝手な悪人になってしまうか、いずれかの結末をたどります。
例外なのがシュウで、ケンシロウのために自らの目をつぶし、ケンシロウの命を救った集は、核戦争後に暴走するサウザーを止めようと、レジスタンス活動を行っていました。
その後、一度サウザーに倒されたケンシロウを救い出す際に、自らのアジトがばれてしまい、サウザーの軍勢に攻め込まれるなか、なんとかそれらを退けるものの、最後に直接対峙したサウザーに倒され、殉死してしまいます。
シュウのように、南斗聖拳そのもののことを案じ、行動に移せる戦士たちが多ければ、南斗聖拳も衰退することはなかったでしょう。
まとめ
南斗聖拳の使い手たちは、結局作中の前半で同士討ちしたり、ラオウとの戦いで敗れるなどして、結局全員が死亡してしまいます。
南斗六聖拳のいずれかの配下に加わっていた108派も、束ねていた六聖拳の戦士たちが死亡することで崩壊したり、かろうじて残っていた派閥も、新たにこの世を支配する「天帝」のもとで君臨する元斗皇拳のファルコによって滅ぼされることとなりました。
戦いの後も、慈母星であるユリアが生き残っていましたが、死の病のせいで、余命いくばくもなくなり、ラオウとケンシロウの戦いから3年後に亡くなってしまいます。
こうして、ユリアの死を持って、南斗聖拳はついに滅んでしまったのです。
もし、シュウのような戦士たちが後1人でもいたら、南斗聖拳はこのような結末をたどることはなかったでしょうから、とても残念です。
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