北斗の拳のストーリー展開上、すべてのストーリーに関わる人物は数少ないのですが、そんな数少ない人物の中に「バット」がいます。
バットは、両親と死別した少女リンと共に、ケンシロウの旅に同行する少年ですが、ケンシロウの傍らで過ごすうちに、強い意志と行動力を持った青年に成長します。
ここでは、バットが成長した7つの理由とエピソードをご紹介していきます。
Contents
1.バットがここまで成長した7つの理由とエピソード
バットは、その風貌や振る舞いでは見せないのですが、人の気持ちをくみ取り、行動することのできる少年です。
バットは成長しても、人のことを思いやり、自らが信じた正義を貫いて行動します。
最終的には、世の中の平和を願い、自らがリーダーになって行動を起こすまでになります。
バットはなぜここまで成長することができたのでしょうか?
①人を思いやる気持ちを持っていた
バット自身は、核戦争後の貧しい村で、養母とともに暮らす少年でした。
でも、村には自分のような孤児、それも自分よりも年齢の小さい孤児ばかりがいて、毎日ひもじい良い思いをしているありさまでした。
それのありさまを見たバットは「自分がいれば他の子供たちの分の食料の割合が減る」と思い、単身村を後にします。
普通ならば、自分だっておなかがすいたと言いたくなる年頃なのに、自分のことをさておき、自分が姿を消すことで子どもたちがひもじい思いをすることを避けた、思いやりを持っていた少年だったのです。
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ある意味「不器用」な男と言えますが、むしろ人にやさしさや思いやりを押し付けることをよしとしない、バットなりの気持ちだったのです。
②ケンシロウに助けられるだけの男ではなかった
ひとり旅の途中で、バットは食料を盗み損ねて、ある村の監獄に捕らわれます。
そこで出会ったのは、旅の途中だったケンシロウです。
バットはケンシロウに興味を持ち、ケンシロウの後を追い旅に出ます。
ケンシロウ自体はバットに「ついてこい」と一度も言ったことはなく、むしろついてくるバットに対して「勝手にしろ」と言うだけでした。
最初は単なる戦いの野次馬のような存在で、ラオウの手のものにやられそうな時には、ケンシロウに助けてもらうような存在でもありました。
ですが、ケンシロウの戦いが熾烈を極めてくるにつれて、バットはケンシロウの役に立ちたいと考えるようになります。
実際に戦いの中で、ケンシロウのアシストをするようになり、青年になったバットはケンシロウの代わりに修羅の国の戦士達と戦うまでになります。
もし、ケンシロウが北斗神拳をバットに伝授していたらどうなっていたか、考えただけでもすごいことになりそうです。
そう思えるほど、バットの成長は著しかったということです。
③行動力のある男だった
ケンシロウがラオウとの戦いに勝利し、余生限られたユリアとともに旅に出ると、ケンシロウの気持ちをくみ取り、バットはケンシロウを見送ります。
ですが、ケンシロウが姿を消した世界では、再び「天帝軍」なる集団が暴力で世界を支配しようとします。
バットがそこでとった手段は、ケンシロウに助けを求めることでもなく、自分たちで天帝軍と戦うことでした。
天帝軍に対抗するために、リンと共に「北斗の軍」を率い、バットはそのリーダーになります。
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かつてのバットであれば、何かあればケンシロウに助けを求めていたものですが、青年となったバットは、自らがケンシロウの遺志を継ぎ、平和な世界を守るため、行動を起こす青年に成長したのです。
ちなみにこの行動力はその後も発揮され、修羅の国に旅だったケンシロウの後を追い、カイオウとの戦いにおいてケンシロウを手助けするなど、ケンシロウをして「おまえは俺にとって弟だ!」と言わしめるまでの活躍を見せます。
④人のために己を犠牲にできる男だった
バットにとって、ケンシロウと過ごした少年時代は、ケンシロウに未来を託して死んでいく戦士たちの生きざまを目の当たりにする時でもありました。
トキ、レイなど、打倒ラオウのために命尽きるまで戦った男たちの姿は、その後のバットの成長に大きな影響を与えます。
そして、バット自身が青年になり、ケンシロウがカイオウを倒した直後に、バット自身にとって大きなイベントが起きます。
カイオウによって秘孔を突かれ、記憶を失っていたリンと再会したバットは、リンがケンシロウを愛していたことを知っているので、ケンシロウとリンを引き合わせ、2人一緒に暮らせるように仕向けます。
しかし、その時に再会したケンシロウは、リンと同様に記憶を失っていたのです。
何とかしたいと思っていたバットは、時を同じくしてケンシロウの命を狙っていた悪党・ボルゲの襲撃を受け、ケンシロウをかばって自らが捕らわれの身になり、拷問の末に命を落としてしまいます。
バットが命を賭け、己を犠牲にして残した思いは、ケンシロウの記憶をよみがえらせることに成功します。
今まで見てきた戦士たちの崇高な自己犠牲を、最後にはバット自身が実践したわけなのです。
⑤機械やラオウの愛馬まで…さまざまなことに器用な男だった
バットは北斗の拳に登場するキャラクターの中でも、機械の操作や修理が得意な一面を見せます。
実際にアニメ版北斗の拳ではバギーを組み立てたり、そのバギーを駆使してケンシロウと一緒に旅に同行する器用ぶりを見せます。
あと、機械の操作の器用さだけではなく、その場の雰囲気を理解した「臨機応変さ」という意味でも、器用な男でもありました。
修羅の国に潜入した時、出会ったばかりの賞金稼ぎ・アインを言葉巧みに誘うことで、ともに修羅の国の郡都を陥落させたり、警戒厳しい帝都にあっさりと潜入することに成功するなど、緊迫した場面であっても、臨機応変さを駆使してその場を打開していくだけの器用さを持ち合わせています。
また、ラオウとジュウザ、ケンシロウ以外の人間に背にまたがることを許さなかった黒馬「黒王号」を、バットはあっけなく乗りこなしてしまいますが、これもバットの器用さゆえに出来た行動に他なりません。
これだけ器用なのですから、ケンシロウから北斗神拳を伝授されていれば、バットのことでしたからうまく使いこなせていたはずです。
実際に作中でケンシロウがバットに北斗神拳を伝授することはしませんでしたが、バットが戦う時にレイの手刀やケンシロウの拳を真似ることがあり、敵にダメージを与えていることから、見よう見まねでもそこまで会得出来てしまうバットは、やはり器用と言えます。
⑥リンのことが好きなのに…愛することに不器用な男だった
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機械の操作やその場の空気を読むことには器用だったバットですが、人を愛することに不器用だった男と言えます。
ケンシロウを追いかけてリンと一緒に旅をするうちに、いつしかリンに対して恋愛感情を抱くようになったバット。
しかし、リンがケンシロウを愛していることを知ると、自らの恋愛感情は胸に秘めて、本心と真逆の行動をとり、リンとケンシロウを相思相愛にしようと何度もアクションを起こします。
ですが、ケンシロウはバットの気持ちを知っており、リンの気持ちに答えることはしませんでした。
カイオウとの戦いの後、カイオウによって秘孔「死環白」を突かれてしまったリンは、直後に見た人間を愛するようにされてしまいます。
そのことを知ったバットは、自分ではなく、ケンシロウを直後に見せることで、リンの気持ちをかなえてやろうとしますが、逆にケンシロウにリンを託され、リンはバットを見つめることになり、バットのことを愛するようになります。
その後もバット自身は、本当のリンの気持ちを知っていたがために、秘孔の力だけで自分を愛することになったリンとの関係について悩み続けます。
ついにバットとリンの結婚式となった直前、バットは結婚式の途中でリンの秘孔を突いて記憶を消し去ります。
自分が本当にリンのことを好きなのに、そうとは言えず、秘孔の効力のおかげで愛するリンと相思相愛の状態になったのに納得がいかず、結局リンをケンシロウと結びつけようとしたバット。
恋愛には不器用だと言えますが、別の言い方をすれば恋愛には純粋に向き合っていたのが、青年期のバットであったと言えます。
⑦人の上に立つリーダーの資質を持つ男だった
バットは強さを持ち合わせていましたが、それ以上にリーダーの資質を持ち合わせている男でもありました。
特に「北斗の軍」を結成した当時、バットはまだ20歳前後の若者であり、その若者に多くの戦士たちが共感し、共に闘うというのは、バット自身のリーダーの資質によって得られたものです。
また、バット自身が表に出る場合だけではなく、物語が進んできて、リンが天帝の血を引く者であることが分かると、自分は一歩下がり、リンをリーダーとしてトップに掲げ、よりカリスマ性を強調する形で北斗の軍の正当性をアピールします。
そのことで、さらに多くの賛同者が集まり、最終的に天帝軍を打倒するまでの戦力を整えることに成功したわけです。
バット自身もそのことを自覚していたのか、適度に自分が出しゃばるようなことは避け、リンを支える軍氏のような役割に徹していましたし、そういう意味ではリーダーの資質も持ちながら、組織のことも考えて行動できる男だったのです。
いまどきの言葉で言うと、すぐれた「組織マネジメント能力」を持っていた男、それがバットだったのです。
まとめ
バットの少年期は、年齢の割に世間を見下したような言動をして、ある意味ひねくれ者、あるいはお調子者と言えるキャラクターでした。
ですが、相次ぐ人々の死を目の当たりにして、ケンシロウやリンの優しさに触れることで、人のために尽くすこと、人のために生きることを考えるようになりました。
その結果、青年期には「北斗の軍」を束ねるリーダーとして、時にはケンシロウを積極的に助ける戦士として、活躍の幅を広げることになります。
お調子者でそそっかしい部分は、青年期でも多少見受けられることがありましたが、やはりここまで立派に成長したキャラクターは、バット以外にはいないのではないでしょうか。
その成長をたたえる言葉が、ケンシロウの「おまえは俺にとって弟だ!」という、最大級の賛辞に込められているのです。
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