北斗の拳でストーリーに大きく関与する男と言えば、ラオウに他なりません。
序盤では弟であるケンシロウとの死闘を繰り広げ、命耐える直前に愛する女、ユリアの寿命を延ばしてやるなど、力と愛を持った男として描かれているラオウ。
その死後も、ラオウに関連する人物が登場し、北斗の拳のストーリー上重要な人物となっています。
ここでは、そんなラオウがなぜ世界を手中に入れたかったのか、ラオウの野望と7つのエピソードをご紹介していきます。
Contents
1.ラオウが世界を望んだその理由が分かる7つのエピソード
ラオウの人生が大きく変わったのは、北斗神拳の継承者として選ばれなかったところから始まります。
ラオウにしてみれば、自分を含めて4名いた継承候補者の中で、自分が一番その座にふさわしいと考えていたのに、それが叶わなかった。
では代わりに継承者に選ばれたのは誰かと言えば、こともあろうに末弟のケンシロウ。
当然ラオウも納得するはずもなく、不愉快な現実を契機にして、ラオウが世界征服を志すようになっていきます。
実際にどのようなエピソードがあるのか、見ていきましょう。
①師であり養父であるリュウケンと戦う
北斗神拳の継承者に選ばれなかったラオウは、ケンシロウを継承者に選んだ養父であり師匠・リュウケンに異議を唱えます。
もちろんリュウケンはその異議に答えてラオウを継承者にするわけもなく、わかりあえない親子は拳を交えて対決することになります。
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戦いは一進一退でしたが、当然師匠であるリュウケンの方が強く、ラオウはその強さにおされぎみになります。
ですがリュウケンも老体に無理をしていたこともあり、最後には自分の体が悲鳴をあげて、動けなくなったところをラオウにとどめを刺されます。
こうして、ラオウを制止するものはいなくなり、ラオウは自分の力を持ってこの世を支配するためにたちがあります。
②ラオウは世界に平和をもたらすつもりだった
ラオウは、自分のためだけに世界を支配しようとしたつもりはありませんでした。
むしろ、核戦争後の無秩序の世界を憂い、平和を取り戻すために北斗神拳を用いて、悪と戦おうとしたのです。
核戦争によって、トキ、ジャギ、そしてケンシロウはそれぞれ離ればなれになり、ラオウは悪党たちが暴力をふるって水や食料を奪い合う世界に直面していました。
ラオウはそのような状況を終わらせるために、自らの北斗神拳を用いて、悪党を退治していくのですが、いつしか世界平和のためには「力あるものがこの世を支配する」ことを考えます。
つまり、最も力のある人間がこの世を支配することで、世界が平和になるのではないかと悟ったのです。
同時にそれは、最も力のある人間こそ、ラオウ自らのことであり、自分に逆らう人間はすべて倒すべきという、自己中心的な考えが芽生えるきっかけにもなったのです。
③ラオウの世界支配に邪魔になったのは「北斗の兄弟」
ラオウは自らが望む世界を作るためには、何が必要かを考えます。
自分がこの世を支配するためには、当然邪魔な人間は倒すべきだと。
つまり、自分と同等の強さを持っているのは、北斗神拳を使うことのできる、北斗の兄弟さえいなくなれば、邪魔な人間はいなくなると考えます。
ラオウは「覇王」を名乗り、手下を従えてあらゆる町や村を襲い、北斗の人間を探します。
すぐに見つかったのはジャギですが、ジャギはケンシロウに倒される寸前で逃げ延び、情けない姿になっており、ラオウ自らが殺す必要もない弱虫ぶり。
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ラオウはケンシロウ探しのえさにしようと、ジャギをけしかけ、偽ケンシロウとして悪行を繰り返すように仕向けたのです。
そして恐れていたのが、トキの存在です。
技の切れやスピードは、自分よりも上回っていたトキのことを、ラオウは一番恐れていたのですが、核戦争時に被ばくしたトキは既に身体を病み、一時の強さを失っていました。
その結果、実力は一番劣ると思われるものの、五体満足な状態であるケンシロウのことを、ラオウは是が非でも倒さねばならないと考えるようになったのです。
④ラオウがケンシロウを最も憎んだ理由はユリアの存在
ラオウがケンシロウを憎んだ理由は、五体満足だからだけではありません。
それは、自身も好意を抱いていた南斗の血を引く女、ユリアがケンシロウのフィアンセになってしまったからです。
ラオウは北斗神拳の継承者にも選ばれず、ユリアとも結ばれなかったことで、ケンシロウに嫉妬し、憎しみを抱いていたのです。
覇王軍の動きによって、それを阻止しようとするケンシロウの行動により、ラオウはケンシロウの動向を把握することが出来ました。
同時に、ケンシロウのもとにユリアが存在しないこと、ユリアが南斗五車星によって守られ、南斗の将として生かされていることにも気付きます。
ユリアを自分の手にして、邪魔なケンシロウを抹殺することで、自分の世界支配が完璧なものになるとラオウは踏んでいたのです。
⑤ケンシロウを信じる者たちがラオウに戦いを挑む
ラオウにとって、予想外のことが起きたのは、物語も後半に近づいたころのことです。
ケンシロウと対峙し、命を奪う寸前まで追い込んだのですが、そこでケンシロウを信じ、ケンシロウを慕う戦士たちがラオウの前に立ちはだかります。
南斗水鳥拳のレイは、妹アイリを救ってくれた男、そして自分が好意を抱く女・マミヤが愛している男であるケンシロウを守るため、ラオウに対峙します。
そして、ラオウによって寿命が数日間になってしまう秘孔を突かれてしまったレイは、それでもケンシロウのため、マミヤのためにと命を投げうって戦い続け、死に至ります。
ラオウによってさらに計算外だったのは、弟のトキがケンシロウを守るため、自らの命を縮める秘孔をついてまで、ラオウに戦いを挑んだことです。
力が同等、でもスピードはトキの方が上という状態になり、ラオウは自らの敗北を覚悟しますが、秘孔を突いた効果が無くなり、トキは力尽きてしまいます。
能力を認めた弟の命を奪うことはせず、ラオウはトキの命を助けますが、この時にとどめを刺さなかったことで、後にラオウは大きな代償を払うことになります。
ケンシロウの後を追い、トキにケンシロウをおびき寄せるわなを仕掛けるラオウでしたが、南斗五車星の1人である山のフドウと対峙したときには、ラオウ自身がおびえてしまい、フドウに倒されそうになってしまいます。
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何とかフドウを倒したラオウは、一刻も早くケンシロウを倒さねばと焦るようになります。
⑥ケンシロウとの戦い…ケンシロウの強さがラオウを驚かせる
ラオウはユリアを奪い、ユリアを人質にしてケンシロウをおびき寄せる作戦に出ます。
ユリアは南斗五車星によって守られていましたが、山のフドウをはじめとする5人の戦士はラオウに倒されてしまい、ユリアはケンシロウと再会直前にラオウの手に落ちてしまいます。
ラオウは、ケンシロウが戦う目的でもある「ユリアを救う」という目的を失わせることで、ケンシロウの戦意を喪失させることをもくろんでいましたが、再度対峙したケンシロウは過去に瀕死に追い込んだケンシロウとは格段に強くなっていました。
実はケンシロウ、余命いくばくもないトキの協力により、北斗神拳最終奥義「無想転生」を身につけていたのです。
無想転生は、悲しみを身につけた者が会得することのできる北斗神拳の最終奥義でありました。
ケンシロウは、多くの戦士たちとの戦いの中で、目の前で命を落としていった戦士たちや兄弟たちへの思いを悲しみに変えて、尊敬すべきトキが絶命することで、ついに最終奥義を会得したのです。
無想転生は拳の力ではなく、防ぐことのできない無想の拳を相手に浴びせるというもので、実態のない拳をラオウは防ぎようがなく、ケンシロウの攻撃をまともに浴びて、逆にラオウ自身が瀕死の状態に追い込まれます。
でも、そんなラオウにケンシロウはとどめをさすことはせず、ユリアとの再会を優先します。
その時、ケンシロウに思わぬ現実が訪れます。
⑦ユリアの寿命はあと少し…その時ラオウはユリアに拳を向ける
ユリアはトキもかかっていた「死の病」におかされていました。
死の病とは、核戦争後の被ばくにより、身体のいたるところがむしばまれてしまう病で、ラオウを倒した後のユリアは、余命数日というありさまでした。
ケンシロウはユリアの現状に絶望するのみでしたが、この時ラオウは残された力を振り絞り、拳を振り上げます。
ケンシロウが驚く中、ラオウはユリアの秘孔を突き、病の進行を遅らせることで、ユリアの寿命を延ばすことに成功します。
そしてラオウは、天に向かって拳を突き上げ、残された最後の気力を天に注ぎ、重く立ち込めていた雲を振り払い、核戦争後には見られなかった青空や太陽の光を世の中によみがえらせるのです。
この時、すべての気力を費やしたラオウは絶命してしまいます。
まとめ
ラオウはこうして、ケンシロウに倒され、この世を去ります。
あれだけ強さを誇ってきたラオウは、なぜケンシロウに敗れたのでしょうか。
やはり、ケンシロウが哀しみを背負い、北斗神拳究極奥義「無想転生」を体得したことで、ケンシロウがラオウよりも強くなったことも原因です。
今まで何者も恐れず、力で全てをねじ伏せてきたラオウが、この時のケンシロウに恐怖を覚え、それを克服せんと無我夢中で拳を振り上げましたが、既に絶対強者であったラオウの面影は残っていませんでした。
ラオウは最後の戦いの直前に悟ります。
最終的に自分を恐怖させたものは、「愛」であったと。
そして、自らが愛するユリアを手にかけることで自身も哀しみを背負い、無想転生を体得します。
ケンシロウ、ラオウとも互いに無想転生を駆使した激闘でしたが、自らの信念を曲げ、ケンシロウとの戦いのために「変節」したラオウの無想転生はしょせん付け焼刃でした。
こうしてラオウはケンシロウに敗れてしまいますが、やはり最後の最後で自分の力を信じられなくなったことが、敗れた理由なのでしょう。
「わが生涯に一片の悔いなし!」と絶叫して絶命したラオウ。
これ以上力をふるわなくてもよくなったこと、最後の最後で自分自身が望んでいた戦いが出来たことへの満足感が、このセリフにつながったのではないでしょうか。
やはり、自らのすべてを賭けてきた男だからこそ語ることのできるセリフでしょう。
まさに「さすがラオウ」というべきところですね。
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